◎円高も先高観を意識
15日の米国株式市場はキング牧師生誕記念日の祝日で米国株や米国債のほか、ニューヨーク商業取引所(NYMEX)を含むCMEグループの各取引市場が休場となります。欧州市場はやや軟調な動きでしたが、特に目立ったのが為替相場で円高が若干進む展開になっています。
15日のロンドン外国為替市場で円相場が続伸、1ドル110円台前半までと、2017年9月以来の円高水準となっています。欧州中央銀行(ECB)による金融緩和の縮小観測が強まっているほか、ドイツ政局の不透明感が和らいだことなどから、ユーロ買いが広がり、ユーロ高、ドル売りとなり、対ドルでユーロが上昇したことに伴い、対円でもユーロが買われています。この流れでドル安円高と言う動きになったようです。
欧州市場でもそうですが、米国市場でもこれまでやや横に置かれていました材料の「金利」動向に焦点が当たる動きとなっているようです。景気回復と低金利が共存する「適温」の経済や市場が、曲がり角を迎えるかもしれないとの警戒感があるためだと今朝の日経で指摘しています。米国株を押し上げてきたPER(株価収益率)が低下に転じれば、日本株も巻き込まれるリスクをはらんでいると、懸念を煽る記事です。
実際に15日の日本株は、米国の金利上昇を受けて金融株が買われる一方で、日銀の金融政策への思惑などを背景にした円高が続き上値を抑える格好になっています。野村証券が年初に実施した国内の機関投資家アンケートでは「適温経済が続く」との予想が38%と最多ですが、「資産バブル化し、崩壊へ」が28%、「過熱、インフレへ」が22%となっています。
株価が上昇しすぎたり、景気が過熱したりして株高のバランスが崩れるとの警戒感が漂っており、これも金利に大きく影響を受ける動きと言うことになります。と言うのも株価は利益とPERに大きく影響される訳ですが、過去を振り返ると、PERは金利や物価に左右されやすい傾向にあると言えます。
米エール大のシラー教授が考案した長期的な業績に基づく「シラーPER」は米国株で33倍と、IT(情報技術)バブル以来の高水準にあり、このシラーPERの逆数で、株式投資の利回りを示す益回りは米10年債利回りと長期に連動してきました。ここ数年も、「国債に比べれば割安」というのが株の買い材料になってきた訳です。
ところが、直近の益回りは3%しかなく、米10年債利回りが2.5%台から3%に向かえば、利回りで比べた魅力は薄れることになります。次に、シラーPERを使って長期の物価とPERの関係を見ると、物価上昇率が1〜3%と安定した伸びの時にPERは高くなっていました。3%を超えると低下する傾向がみられ、ほどほどのインフレの時にこそPERは高くなりやすいと言えます。
過去と比べ、物価上昇率が低い現在では3%に到達しなくても株にとって心地よい状況でなくなる可能性があるとの見方で、2%台後半になると、米連邦準備理事会(FRB)が急いで金利を上げる必要が出てくるとの連想が働き、市場にネガティブな影響があると大和証券では指摘しています。
いずれにしても金利動向に左右される株式相場ですが、その金利を決める大きな影響を持っているのが各国の中央銀行であり米国のFRB、そして日本では日本銀行と言うことになります。日銀の影響力は限りなく小さくなっていますから、それほど気にする事はないのですが、議長が今年変わる米FRBの金融政策の動きは株式市場関係者にとっては大きな関心事と言うことになりそうです。
と言うことで目先の相場ですが、円高がどの程度日経平均株価の重石になるのかを見極めることになりそうです。一方で企業業績にとってはこの程度の円高で大きな影響はないとの見方もあるだけに、下旬より本格化する企業決算に対する期待感は依然として強いと言うことなりそうです。日経平均株価は1月5日の2万3520円の取引時間中の安値があるように心理的な抵抗ラインの2万3500円が目先の下値支持線と言うことになりそうです。
●3267 フィル・カンパニー
時間貸し駐車場の地主に上部空間への貸店舗建設などを企画提案。設計・施工子会社擁す。1月12日発表17年11月通期の連結業績は、売上高は29.50億円(16年11月期比76.8%増)、営業利益は2.96億(同43.6%増)、経常利益は3.04億円(同33.4%増)、純利益は1.87億円(同9.5%増)となった。尚、17年7月13日に上方修正した17年11月期通期連結業績を18年1月12日に売上高で18.0%、経常利益で5.1%、再上方修正している。駐車場(コインパーキング)の上部“未利用”空間の活用を実現し、オンリーワンの価値を創出した空中店舗フィル・パーク事業は、東証マザーズ市場への上場による認知度、信用力の向上を背景に、請負受注スキーム(既土地オーナー向けサービス)・開発販売スキーム(一般投資家や機関投資家向けサービス)とも順調に成果を重ね、当連結会計年度において竣工引渡を予定しておりましたプロジェクト物件についても全てが竣工引渡となった。また、重点課題の1つとして掲げておりました人材補強については、当連結会計年度末時点で連結従業員数が28名(16年11月期末時点は13名)となった。
●3558 ロコンド
靴を中心とした通販サイトを運営。倉庫の二次利用やECサイト支援などBtoBサービス育成。1月12日発表18年2月期第3四半期の業績は、売上高は28.10億円(前年同期比37.6%増)、営業利益は2.02億(同28.1%増)、経常利益は1.90億円(同19.8%増)、純利益は1.75億円(同38.0%減)となった。ECサービスは、「LOCONDO.jp」の運営、「楽天市場」、「Yahoo!ショッピング」など他社モールへの出店を行っており、当第3四半期は、出荷件数は70万件、出店ブランド数は1,907ブランド。その結果、ECサービスの商品取扱高(返品前)は7,197,739千円(前年同期比24.5%増)、売上高は2,374,442千円(前年同期比34.5%増)となった。
●3697 SHIFT
ソフトウエアテスト事業が主力。ソフトウエアの品質保証も行い、関連のコンサルや研修も。1月12日発表18年8月期第1四半期の連結業績は、売上高は26.57億円(前年同期比94.9%増)、営業利益は2.32億(同903.2%増)、経常利益は2.64億円(同605.5%増)、純利益は1.63億円(同1711.1%増)となった。エンタープライズ市場では、前連結会計年度より特にIT投資規模が大きい金融・流通各分野を注力業界として定め取り組んだ結果、長期的な関係構築を視野に入れたプロジェクトへの参画が進み、こうした新規顧客からの売上高が徐々に増加。エンターテインメント市場では、競合との差別化を図ることによる業界内認知度の向上や、既存顧客からの売上高が増加したことにより、収益基盤の拡大を進めた。
●3791 IGポート
映画、テレビ、DVD等向けアニメ制作と版権収入が主柱。子会社にコミック専門出版社も。10月12日発表18年5月期第2四半期の連結業績は、売上高は45.42億円(前年同期比67.5%増)、営業利益は2.82億円(同30.6%増)、経常利益は3.36億円(同58.9%増)、純利益は1.39億円(同53.5%増)となった。アニメーション作品の企画・制作を行う映像制作事業、コミック雑誌等の企画、製造、販売及び電子コミックスの配信を行う出版事業、作品の二次利用による印税・収益分配金等を得る版権事業に取り組んだ。
●6264 マルマエ
液晶、半導体、太陽電池製造装置の精密部品加工業。大型高精度品強い。産活法による再建終了。1月5日発表18年8月期第1四半期の業績は、売上高は10.45億円(前年同期比69.2%増)、営業利益は3.18億(同183.4%増)、経常利益は3.16億円(同184.8%増)、純利益は2.20億円(同190.0%増)となった。半導体分野では、急激な需要拡大に合わせて新事業所の取得や工作機械の確保など、期首の想定を超える生産設備の増強を行うとともに、流動的人材を確保し、生産体制の強化を図ることで受注および売上高は拡大傾向で推移。FPD分野では、前事業年度より引合いが続いている有機EL向けと第10.5世代液晶パネル向けの受注が拡大し売上高も順調に推移。費用面では、売上高の増加に伴い材料費と外注加工費も増加したことにくわえ、急拡大する半導体製造装置市場の需要に備えるために生産設備の増強や人材採用を積極的に進めていることで、減価償却費や労務費等が増加し製造原価は増加。販売費及び一般管理費も人員増に伴い増加。
●6668 アドテック プラズマ テクノロジー
プラズマ用高周波電源装置で世界3位。液晶・半導体製造用が主柱。研究機関・大学関連事業も。1月12日発表18年8月期第1四半期の連結業績は、売上高は18.71億円(前年同期比21.3%増)、営業利益は4.46億(同37.5%増)、経常利益は4.63億円(同36.7%増)、純利益は3.05億円(同23.3%増)となった。半導体・液晶関連事業ではスマートフォン等の成膜装置メーカー、フラッシュメモリーの増産及びIOT機器の普及など半導体製造装置メーカーの設備投資が好調に推移。研究機関・大学関連事業(IDX)では、官公庁における新規案件が減少する中、シリコンウエハの生産能力増強の投資計画が発表され、受注獲得に注力。
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