◎外部環境を見極める
再び米国株が大きく下げています。先週末4月6日、NYダウは500ドルを超える大幅な下げで、一時767ドル安まで下げています。トランプ米大統領が、中国からの輸入品に1000億ドル規模の新たな追加関税を検討する方針を表明。知的財産権侵害を理由にした米国の貿易制裁に対する中国の報復措置に対抗する動きで、これを受けて、二大経済大国による報復合戦がエスカレートして「貿易戦争」に発展すれば、世界経済への悪影響が避けられないとの懸念が再燃しています。
これに対して中国商務省が急きょ記者会見を開き、「1000億ドルの課税リストが発表されれば、直ちに強力な反撃に出る」と宣言。米中の貿易摩擦激化に対する市場の懸念は、前日までにロス商務長官ら複数の米高官が回避の可能性を示唆したことから後退していたものの、両国が態度を硬化させたことで再燃する動きです。リスク回避ムードが広がり、6日の米国株は終始売り優勢の展開となった訳です。
雇用統計の結果などその他色々な材料があったのですが、やはり市場の関心は世界経済に影響を及ぼす「米中貿易戦争」の行方を見極めたいと言うムードが強くなっています。ただ、その一方で週明けのニュースではトランプ米大統領が8日に、中国の知的財産侵害に対する制裁関税をめぐり「知財で取引は成立するだろう」とツイッターに投稿し、交渉での紛争解決に意欲を表しています。中国が貿易障壁を下げるとの見通しも示したのですが、根拠は明らかにしていないようです。
トランプ氏は「中国は貿易障壁を下げるだろう。それは正しいことだからだ。税金は互恵的になる」と述べ、関税引き下げなどの譲歩を引き出せると主張しています。「貿易紛争で何が起ころうとも、習近平国家主席とはいつも友人だ」と首脳間の良好な関係も持ち出しています。足元で米中の貿易摩擦が激しくなっている一方で中国と交渉し、知財侵害への対処や対中貿易赤字の削減策で譲歩を引き出せれば、関税発動を見直す構えもみせているようで、トランプ大統領自身も表では過激な事を言っておきながら、本音では最悪の状況は何とか避けたいと言う意思も垣間見られると言うことのようです。
いずれにしても、この米中の貿易摩擦の動向で米国株や日本を含む世界の主要株価が上下大きく変動する訳で、何とか早く収束して欲しいところですが、今週も引き続きこの問題が尾を引くことになりそうです。日本株にとっても先週末の米国株下げの影響で日経平均株価が節目の2万1500円を超えて来たものの、再度ここで頭を抑えられる動きになりそうです。25日移動平均線や200日線の2万1300円台を下値維持できるのかがポイントになりそうですが、米国株次第、米中貿易摩擦の動向次第と言うことで、ここは外部環境の動きを見守るしかないと言うことになりそうです。
●4763 クリーク・アンド・リバー社
テレビ・ゲーム・Web等映像関係派遣、制作が主。医療ほか専門職分野拡大。配当性向20%以上。4月5日発表18年2月通期の連結業績は、売上高は267.08億円(17年2月期比0.5%増)、営業利益は18.06億(同12.2%増)、経常利益は18.24億円(同23.5%増)、純利益は11.03億円(同23.7%増)となった。孫会社であるCREEK & RIVER ENTERTAINMENT Co., Ltd.が当社連結子会社から持分法適用関連会社に異動したことにより、クリエイティブ分野(韓国)の売上高がマイナス要因となったものの、クリエイティブ分野(日本)及び医療分野が好調に推移した。利益面においては、クリエイティブ分野(日本)において、既存事業の人員補強や新規事業の立ち上げ等に伴い戦略的に人員採用を行ない販売管理費が増加した一方で、制作スタジオにて利益率の高い受託案件が増加したこと及び、医療分野における事業の伸長等により、期初に公表した計画を上回り、過去最高の業績となった。
●6050 イー・ガーディアン
SNS投稿等の目視監視や運用支援と、ゲーム利用者の問い合わせ対応代行が主体、広告審査も。2月1日発表18年9月期第1四半期の連結業績は、前年同期比28.4%増収、同55.5%経常増益となった。17年10月より、販売・運用代理パートナーである「LINEカスタマーコネクト」を利用し、ユーザーがゲームプレイをする上で関心の高い情報を、チャットボットを用いてAIが24時間365日自動応答で提供する「ゲーム攻略チャットボット」サービスの提供を開始。尚、18年9月通期の連結業績では売上高は59.10億円(前期比16.6%増)、営業利益は9.23億円(同13.8%増)、経常利益は9.26億円(同10.2%増)、純利益は6.11億円(同6.7%増)を見込む。4月3日付の日本経済新聞では売上高100億円以下の上場企業995社「NEXT(ネクスト)1000」を対象に株価上昇率をランキング、2015〜17年度の3年間での平均上昇率を調べたところ首位は同社となり、人間によるチェックに人工知能(AI)を組み合わせ、企業のサイトを監視。「炎上」などによるトラブルを減らすなった。
●3558 ロコンド
靴を中心とした通販サイトを運営。倉庫の二次利用やECサイト支援などBtoBサービス育成。1月12日発表18年2月期第3四半期の業績は、売上高は28.10億円(前年同期比37.6%増)、営業利益は2.02億(同28.1%増)、経常利益は1.90億円(同19.8%増)、純利益は1.75億円(同38.0%減)となった。ECサービスは、「LOCONDO.jp」の運営、「楽天市場」、「Yahoo!ショッピング」など他社モールへの出店を行っており、当第3四半期は、出荷件数は70万件、出店ブランド数は1,907ブランド。その結果、ECサービスの商品取扱高(返品前)は7,197,739千円(前年同期比24.5%増)、売上高は2,374,442千円(前年同期比34.5%増)となった。プラットフォームサービスでは「BOEM」における支援企業社数は新たに株式会社大丸松坂屋百貨店などの開始により当第3四半期末時点で17社となった。これにより、当第3四半期期間の商品取扱高(返品前)は1,711,417千円(前年同期比3.4%減)、売上高は436,319千円(前年同期比57.5%増)となった。
●4921 ファンケル
通販主力の無添加化粧品メーカー。サプリや健康食品も展開。海外は中国、香港、北米が中心。16年4月27日に公表した18年3月通期の連結業績を18年1月30日に上方修正している。売上高は前回発表の1050.00億円から今回1075.00億円(増減率2.4%増)(前期比11.6%増)、営業利益は前回60.00億円から今回77.00億円(同28.3%増)(同243.1%増)、経常利益は前回61.00億円から今回78.50億円(同28.7%増)(同229.1%増)、純利益は前回40.00億円から今回54.00億円(同35.0%増)(同4.9%増)としている。売上高は、ファンケル化粧品やアテニアが好調なことに加え、インバウンド需要が想定を上回って推移。各利益についても、第4四半期に来期を見据え追加的に広告投資を実施するものの、増収効果により前回予想を上回る見通し。
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